TOEICで高得点を取るには、どれくらいの語彙力が必要?

 

 日本の英語教育では、中学から高校3年にかけて学校の検定教科書で学習する語彙は約2700語とされている。もちろん、これだけでは、実用的なレベルの英語を使いこなせるようには、なかなかならない。

 「ネイティブは中学・高校レベルの英単語だけを使って話している」、あるいは極端な例では「中学英語だけで英語は使いこなせる」などという記述をよくみかけるが、これは果たして本当だろうか。いわゆる「英会話」で、最低レベルのコミュニケーションを目指すならば、確かにそのような語彙力でも事足りるかもしれない。
 しかし、例えば英検1級をクリアするためには1万~1万5000語の語彙が必要とされている。ネイティブと肩を並べるくらいに英語を駆使できるようになろうとする人たちには、約2万語の語彙力が求められる。

 

単語はどうやって暗記するのがいい?

 

 では、語彙力の強化に絶対的な方法があるのだろうか。かつては、「豆単」という英単語集を丸暗記していくことが、大人気を得たことがあった。しかし、根気だけでは続かないもの。多くの人がAの項の単語にだけ詳しくなる、といった状況になった。
 現在では、DUOを始めとする、最重要単語・熟語を例文で覚えていく単語集がいくつも出されており、これらを着実にこなせば、大学入試レベルの単語力はつくだろう。しかし、それ以上の単語力をつけようとする場合には、絶対的な単語暗記法があるわけではなく、英字新聞やペーパーバックの多読でコツコツ覚えていったり、あるいは「語呂合わせ」や「派生語」、「外来語」から覚えたり、さらには「語源で単語を覚える」といった方法が模索されてきた。
 「語源で単語を覚える」の大きな利点は、①派生語の多い語根と接頭辞を覚える事で、その何倍もの単語の意味が推測しやすくなる。②一度覚えた単語が記憶に定着しやすい。

 

英語はどんな歴史を持った言語か

 

 英語の単語は、ゲルマン語系とフランス語・古典語(ラテン語・ギリシャ語など)系の2種類に大別できる。ゲルマン語系の単語が約20%、フランス語・古典語系の単語が80%を占めるといわれる。
 ゲルマン語系の語は、例えばthe, is, here, there, do, have, get, make, come, goなど、日常生活でよく使われる単語が占める。一方、英語の歴史において、宗教・政治・法律・科学・文学などの専門用語が主としてラテン語・ギリシャ語から借用され定着した事から、フランス語・古典語系は主として、論理、思考、芸術活動のための言葉が占めている。

 

ゲルマン語系の単語

 

 英語は「インド・ヨーロッパ語系」の「ゲルマン語派」に属している。「ゲルマン」とはGerman、つまり「ドイツ」のこと。そのため、英語は、文法的にはドイツ語に似ている。ゲルマン語系の単語の多くが、数としては少ないながらも、日常生活に密着した語彙であるのは、ゲルマン語が英語の「祖語」であるためだ。

 

フランス語・古典語系の単語

 

 1066年、フランスのノルマンディ公ウィリアムがイングランドを征服した(ノルマン・コンクエストといわれる)。このあと150年間、イギリスはノルマン人の支配下に置かれる事となった。この時代、支配階級はフランス語を用いていた。そのため、この時代にフランス語の影響を大きく受けることとなる。フランス語の英語に対する影響は、語彙的なものが大きく、そのため現代英語とフランス語の文法はあまり似ていないといわれている。
 フランス語、そしてギリシャ語・ラテン語といった古典語に由来する語彙は、いわば「外来語」である。先ほども述べたように、これらの単語は、英語にもともとなかった「抽象概念」を表現するために、英語の中に借入されたのである。そのため、論理や思索のための語彙のほとんどがフランス語・古典語系なのだ。
 フランス語・古典語系の単語は、「語根」分解して考える事で、未知の単語であっても、意味を推測する事がかなり可能だ。

 

<span語根・接頭辞・接尾辞

 

 語根とは「単語から接頭辞と接尾辞を取り除いた単語の意味の基本となる部分」のことである。語根だけでなく、同時に接頭辞と接尾辞の知識も身に付けておこう。

単語を構成する要素

語根(root)

接頭辞(prefix)

接尾辞(suffix)

接頭辞とは、語根の前につき、語の意味を補ったり、語の意味を逆転させたりする。接尾辞は、語の後ろについて、語の品詞を変えたり、意味を補ったりする。接頭辞と接尾辞は、「単独」で用いられない。語根は、単独で用いられたり、接頭辞、接尾辞と組み合わせて用いられる。

フランス語・古典語系はなぜ語根に分解できる?

 フランス語・古典語系の単語は、実は「人工的に」作られたものが多い。フランス語やラテン語、ギリシャ語の「語根」と「接辞」を論理的に組み合わせて、新たに生み出された単語が多いのだ。
 そのため、逆に、もう一度「分解」することによって、意味を推測できるというわけだ。ラテン語系の単語を例に取ると、約500個ほどのラテン語を語源として、じつに1万語もの英単語が派生されているとされる。つまり、たった500個ほどの語根を知るだけで、1万語の英単語を取得できるというわけだ。

※ラ→ラテン語
stat / stit / sist 〔立つ〕→ラ stare / sistereより
● assist (~援助する)
● constant(不変の、一定の)
● ecstasy〔無我夢中、歓喜〕
● inconsistent(一貫性のない、矛盾した)
● insist(~を言い張る)
● restore(~を回復させる)
● persist(固執する)

sum〔取る・採る〕→ラ sumereより
● assume(~を当然と思う:~を引き受ける)
● presume(~を推定する)
● resume(~再開する)
● consume(~を消費する)

claim〔叫ぶ〕→ラ clamareより
● claim(~を要求する)
● proclaim(~を宣言する)
● exclaim(叫ぶ)

popl / publ 〔人々、人民〕→ラ populusより
● popular(人気のある)
● population(人口)
● public(公の)
● publish(~を出版する)
● republic(共和国)

sens / sent 〔感じる〕→ラ sentireより
● sense (感覚)
● sentiment(感情)
● consent(同意する)
● dissent(意見が異なる)
● sentence(文、判決)
● resent(~に憤慨する)

jac / ject / jet 〔投げる〕→ラ jacereより
● abject(みじめな)
● inject(~を注射する)
● interjection(間投詞、叫び)
● reject(~を拒絶する)

quest / quire〔捜し求める〕→ラ quaerereより
● question(問題、質問)
● acquire(~を獲得する)
● conquest(支配)
● inquire(~を尋ねる)

prim / prin / prem 〔第一の〕→ラ prmusより
● prime(最も重要な)
● prince(王子)
● princess(王女)
● principal(最も重要な)
● primitive(原始的な)

spir〔呼吸する〕→ラ spirareより
● spirit(魂、精神、アルコール)
● esprit(精神、ウイット)
● conspire(共謀する)
● inspire(~を奮い立たせる、鼓舞する)
● expire(息を吐き出す、期限が切れる)
● aspire(熱望する)

mot / mov / mob〔動く〕→ラ movereより
● promote(~を昇進させる、促進する)
● remote(遠く離れた)
● remove(~を取り除く)

spond / spons〔約束する〕→ラspondereより
● sponsor(後援者、保証人)
● respond(答える)
● responsible(責任がある)
● correspond(文通する)

spec / spect / spic〔見る〕→ラ spectareより
● spectator(観客)
● expect(~を期待する)
● inspect(~を検査する)
● despise(~を軽蔑する)

tribu〔与える〕→ラ tribuereより
● cntribute(貢献する)
● attribute(~を(・・の)せいにする)
● distribute(~を配る)

接頭辞(prefix)
ad- / af-(~の方向に)
circ- / circum-(~の周り)
com- / con- (一緒に、共に、完全に)
de-(~から離れて、下に)
dis- / di-(分離、反対、否定)
e- / ex- (外へ)
in- (~の中へ、中に)
inter-(~の間に、相互に)
ob- / of-(~の前に)
per-(完全に)
prae-(英;pre-、あらかじめ)
pro-(前方へ、賛成)
re-(戻って、後ろに、再び)
sub- / suf-(下の、下から)
trans-(横切って、超えて)

そのほかの接頭辞
1. 数字に関するもの
uni-(1)
sol-(1)
bi-(2)
du- / dou-(2)
tri-(3)
quart-(4)
cent-(100)

2. 反対・打消し
anti-(反対)
contra- / counter- (反)
in- / im-(打ち消し)
un-(打ち消し)
3. 方向・関係など
post-(後ろに)
ante-(前の、先の)
syn- / sym-(一緒に)
out-(外に、以上に)
super-(上方に)

4. 大きさ・量など
mega-(大きい)
semi-(半分)
hyper-(過度)
hypo-(過小)